静岡市中心市街地の宝台院で家康公の寵愛を受けた西郷のの局(於愛の方)に想いを馳せ少し足を延ばして絶景三保松原へと向かいます。 夏の思い出に、家康公が愛した静岡のまちをめぐってみませんか。
家康公の寵愛を受けた西郷の局が眠るお寺へ
徒歩12分涼を求めて、オトナのかき氷「茶氷」をいただく
静岡鉄道25分+ 徒歩7分市場の活気と食堂街のワクワクを満喫
徒歩2分絶景が広がる三保松原へ!水上バスでプチクルージング
パルクル20分家康公が要人のおもてなしに案内した絶景の地へ
スタートはJR静岡駅に近い「宝台院」。家康公が信仰した浄土宗の寺院で、駿府における徳川家の菩提寺です。ここには家康公の側室、西郷の局のお墓があります。
大河ドラマ「どうする家康」(NHK)で静岡県出身の広瀬アリスさんが演じる西郷の局は、家康公の側室で二代目将軍秀忠の生母。徳川家が、三河、遠江、駿河、甲斐、信濃を治める五カ国大名時代に、家康公とともに駿府で暮らしました。そして、1589年に38歳という短い生涯を終えました。
西郷の局のご位牌。戒名は「宝台院殿一品大夫人松誉貞樹大禅定尼」。宝台院には、蓮の上にある宝のような女性という意味が込められているそうです
宝台院の開創は1507年。「金米山龍泉寺」と命名されました。秀忠公によって、西郷の局没後39年に大法要が営まれ、従一位宝台院殿の号を賜ると、寺の名も金米山宝台院龍泉寺と改め、江戸増上寺と並び、駿府における徳川家の菩提寺となりました。本堂に安置されているご本尊は、家康公が戦の陣に携えた守り本尊で、白本尊と呼ばれる阿弥陀如来立像です。
本堂のご本尊の脇には、家康公が旗印にした浄土宗の教え「厭離穢土 欣求浄土」が掲げられています。ご本尊の阿弥陀如来立像は、国の重要文化財。数々の戦の陣で家康公を見守ってきました
3階は宝物室になっています。家康公の自画像や太刀、直筆の書をはじめ、徳川家ゆかりの宝物が展示されています。徳川家との深いつながりがうかがえます。※宝物室の内部の撮影は禁止されています。取材時は許可を得て撮影しました
御朱印は3種類あり。「愛」の御朱印は大河ドラマの放送に合わせた期間限定のもの
西郷の局が家康公とともに過ごした時代を想いながら宝台院を後に。次は歴史博物館で手に取った「茶氷帖」を参考に、葵区鷹匠のCHA10(チャトウ)へ。茶氷とは、日本三大銘茶と名高い静岡茶を使ったかき氷のことで、今年の参加店は静岡県全域の製茶問屋やカフェなど61軒。7月から9月末を中心に展開されます。家康公が愛した「お茶」が、お店ごとにアイデア豊かにアレンジされています。
手のひらサイズの茶氷帖。WEBでも詳細を見ることができます
ここは静岡産の本格的なオーガニックな抹茶が気軽に飲めるオーガニック抹茶スタンド。カフェスタイルで、本場の静岡茶が楽しめます。期間限定の茶氷は、濃厚な抹茶シロップがたっぷり。自家製豆乳アイス、あんこ、白玉、寒天ゼリーがトッピングされています。さらに、食べる直前にかける黒ゴマ塩きなこソースの香ばしさが、後味をさっぱりとさせてくれます。
「黒ゴマきなこ抹茶氷」1,080円。苦みと渋みのバランスがいい抹茶を使用
ドリンクはテイクアウトもOK。抹茶ラテや和紅茶などが揃っています。家康公が愛した静岡のお茶を味わってみてはいかがでしょうか。店頭で販売している茶葉は、おみやげやギフトにもぴったりです。
カフェバーのようなスタイリッシュな空間
静岡市街地から清水区のベイエリアに足を伸ばして、静岡の味や景色を堪能しましょう。「清水港まぐろきっぷ(大盛)※」は、静鉄電車が1日乗り放題です。新清水駅から徒歩約7分で、港町清水の活気に包まれる「清水魚市場 河岸の市」に到着。清水港は冷凍マグロ水揚げ量全国1位。いちば館にはマグロの他、新鮮な魚介や水産加工品を販売する店が並び、おみやげ選びにもおすすめのスポットです。
※「大河ドラマ館」と「静岡市歴史博物館」の両館入館で『清水港まぐろきっぷ(大盛)』が割引に。静岡鉄道、水上バス、路線バス(三保山手線)の乗車券のほか、食事券1,000円分、周辺観光施設の利用券がセットになっていてお得!
21店舗が軒を連ねるいちば館。さまざまな品揃えに、見ているだけでも楽しくなります
いちば館にある青果店てらいで、家康公が好んだとされる、折戸なすを見つけました。初夢で見ると縁起がいいと言われている「一富士 二鷹 三茄子」。これは家康公の好きなもの(富士山、鷹狩り、なす)と言われています。出回るのは6月下旬~8月頃ですが、生産量が通常のなすの1/3程度のため、大変貴重です。購入する時は、皮につやと張りがあるものを選んでくださいね。
ころんとした丸い形がかわいい。江戸時代は高値で取引されていたとか!?
いちば館をめぐったら、そろそろお腹がすいてくる頃。「清水港まぐろきっぷ(大盛)」には、1,000円の食事券がセットになっています。河岸の市のまぐろ館でお得にランチをいただきましょう。
立ち寄ったのは、天然マグロや旬の地魚を扱う「うおかん」
「清水港丼」1,980円。その日の入荷した「今日のお魚」が10種類ほど乗ったボリュームたっぷりの海鮮丼
ランチの後は、世界文化遺産富士山の絶景が楽しめる三保松原へ。「清水港まぐろきっぷ(大盛)」では、清水港を行き来する水上バスが1日乗り放題。河岸の市まぐろ館のすぐ隣りにある「江尻のりば」から乗船できます。
乗船時間は約20分。清水港の周りにあるたくさんの冷凍倉庫、“清水のキリン”と呼ばれる埠頭の白いガントリークレーンなど、普段とは違う海上ならではの視線で楽しめます。晴れていれば、松原越しの富士山の絶景も。
特別感のある海から見る風景をたっぷり満喫して
水上バスを降りたら、三保松原へ。徒歩や路線バスでも訪問できますが、今回はシェアサイクル「パルクル」で、潮風が心地いい海沿いをサイクリングしながら三保松原を目指します。
水上バスの三保のりばで下船。ここから三保半島の旅へ出発!
シェアサイクル「パルクル」のポートは、水上バスを下船したすぐそばにあります
三保松原に行く前に、地元では三保の灯台と呼ばれる清水灯台へ。白亜の灯台は、明治45(1912)年に設置された日本初の鉄筋コンクリート造。もちろん、今も現役です
海沿いに続く約5kmの松原には推定3万本松の木が生い茂っています。中でもひときわ枝を大きく広げた松は「羽衣の松」。天から降りてきた天女が羽衣を掛けた伝説が残ります。家康公が織田信長をもてなした「富士遊覧」の際にも立ち寄って、富士山の絶景を楽しんだと伝わります。また、大御所時代には、清水区興津の清見寺に滞在した朝鮮通信使を、この景色でもてなしました。その時に通信使が感激して詠んだ漢詩の扁額が、清見寺に残されています。
松原を抜けると目の前には雄大な駿河湾が広がります。天気がいい日は富士山や伊豆半島がきれいに見えます
旅の最後は、三保松原から続く松並木の木道「神の道」を通り、家康公も社殿を整備して崇拝した御穂神社へ。御祭神の大己貴命(おおあなむちのみこと)は縁結びの神様。これからの素敵なご縁をお願いして帰りましょう。
三保松原に降り立った神様を迎える「神の道」。常緑の木陰に心地いい風が吹き抜けます
城下町とは違う、自然がつくりだした風景を楽しめる夏旅。家康公も眺めたであろう絶景は格別です。「どうする家康 静岡 大河ドラマ館」と「静岡市歴史博物館」を訪れた後は、潮風が爽やかな家康公ゆかりのスポットに足を伸ばしてみてくださいね。